耳につくギターソロと反して心地よく響くベース音。
80年代に流行した海外アーティストの流行曲、だそうだ。
足立さんは彼らが好きで、よく彼らのアルバムを聞いている。
そして音楽を流しているとき、必ず読書をする。
そうしていないと、落ち着かないのか、ただの習慣なのか分からないけど。

私が傍にいるときでも、それは変わらないから、身についた習慣なんだろう。
でも今日はいつもと違う。そのBGMに水音と悩ましげな息遣いが、混ざり合った。
高度を増して、勃ち上がるそれに笑みを零し、見せ付けるように舌を這わせる。
チラリと盗み見た彼は、本で顔を隠してしまって、どんな表情をしているか伺うことはできない。

けれど足立さんがどんな表情をしているか、容易に想像できる。
快感に身を任せて恍惚としてしまえばいいものの、年下のガキに欲情を引き出され納得がいかない、悔しい。
顔を顰めたいけど、腰に走る快感がそうさせてくれず、息が上がり裏返りそうなのを必死に押さえ、平静を装っている。
男としてのプライドと本能を競わせてるんだ、バッカみたい。
でもそれが可愛くて、たまらない。また秘部からいやらしい液が溢れ、きゅっと収縮するのを感じる。

「きもひーでしゅか?」

口に含んだまま尋ねると、彼自身がビクビクっと震える。
こうされるのが好きなのは間違いないし、体も正直なのにこの強情な人は、何一つ声も漏らさない。
それなら声を上げさせるまでと、弱いところを中心に責めていく。

「今日はメンド臭いからやだ。僕動かないから、ヤりたいならご自由に」

やらしい意味じゃなくて、単純に寂しくて肩に寄り添っただけなのに、何故かそう突き放され、流石に苛立ったから好き勝手やってるんだけど。
これはこれで、すんごくイイかも。
責められるのが嫌いな足立さんが、余裕をなくしてるなんて、考えただけでゾクゾクする私は変態以外の何ものでもないだろう。
けれど私をこうしてしまったのは、誰でもない彼。
フェラの気持ちいいところから、騎乗位まで。セックスが気持ちいいというのを、嫌というほど教え込まれてしまったから。

責任くらい、とってもらわないとね?余裕ある、大人なんですもんね?
足立さんが達しそうな頃合を見計らい、張り詰めたそれを口から放すと、彼がピクリと体を振るわせた。

「ふふっ足立さん、かわい」

唾液でぐしょぐしょになった手をペロリと舐め、下着の意味をなしていないショーツを脱ぎ捨てた。
触られてないのに、すでに受け入れる体制は十分すぎるほどで。
我ながら淫乱だなと思いつつ、彼の下着も全て取り去り、その上に跨った。
慣れた手つきでコンドームを装着し、ゴムごと濡らすために濡れぼそったそこを擦りつける。
それだけでもよくて嬌声が上がるのに、体は貪欲に強い快感を求めて自然と陰核へたどり着く。

「ひゃあっ、あ、あんっ」

腰から背中に走る電流のような刺激に、ピクリピクリと体が振るえ、膣が収縮するのを強く感じる。
一度イってしまいたいけど、もう挿れたくてたまらない。
足立さんをジらしてその気にさせようと思ってたのに、私が限界。
熱に犯された頭じゃ我慢もできなくて、そのまま本能に身をゆだねようと、ズルズルになった竿を窪みに当てたときだった。

「ね、やっぱ僕も動いて、いい?」

息を弾ませ恍惚とした表情で尋ねる足立さんは、とってもエロくて可愛い。
尋ねなくっても、腰掴んで下から突き上げてくれてもいいんだけどなとドMな思考に呆れつつ、優しさを見せてくれるとこが、好きなんだよねと心中で呟く。
このまま彼に身をゆだねてしまうのもいいけど、それじゃあ物足りない。
私は根に持つタイプだって、知ってるでしょ?

「ダメです。今日は私の好きにしても、いいんでしょう?」

きっと意地の悪い笑みを浮かべていたに違いない。
彼の喉が上下したのを見ると堪らなくなり、でもゆっくりと焦らすように腰を落とす。

「う゛・・・あ、ちゃん」

熱いものに貫かれるような感覚に、視界がチカチカと点滅し、イきそうな感覚に一度腰を止める。
募るように足立さんの上半身にしがみつき、背中をかける強い快感をやり過ごそうとしていたのに。
突然頬を掴まれたかと思うと、噛み付くような激しいキスを受け、口腔内に進入する舌を拒めず、されるがまま。
キスはすごく嬉しいけど、これじゃイっちゃう!

「あだ、ちさっ・・・やぁ、イっ・・・ちゃう、からぁ!」
「いいよ、イきな」

そう言ったときの彼の目は、猛禽類が獲物を狙うようなソレで。
普段は優しい顔しか見せないくせに、情事のときは男の顔をして。
どれだけ私を惚れさせれば、気が済むんですか?

「んっや、あっ・・・はっん、あ・・・イく、イ・・・っちゃ!」

挿入だけで1回イってしまった私はそれで疲れ果て、後は足立さんにされるがまま。
擦っては出して、恥ずかしいことを言わされて、愛してると交わして、キスをして。

ちゃん、おいで」

情事後、手を動かすのも億劫なのに、そう呼ばれたら振り返るしかなくて。
にじにじとある程度近寄ると、力強い手に導かれ腕の中に。
頭を撫でる手が気持ちよくて肩に顔を埋めると、もう一度ちゃんと呼ばれ顔を上げた。

「ほんっとエロい子になったよね、外見は清楚なのに中身肉食とか・・・あ。ロールキャベツ女子?」
「誰のせいですか、誰の」
「んー?そりゃあ、僕だよねえ」

何がそんなに嬉しいのか、終始笑顔でたまに額にキスをくれて。怖いくらいに上機嫌で。

「僕色に染まったっていうの?うわあ、たまらない響き!」
「変態ですね」
「その変態に濡らすちゃんは、ド変態だね?」

否定できないのが悲しい、そして今回も主導権をとられてしまったのが悔しい。

「足立さんだから、仕方ないんです」
「僕は特別?」
「もちろん。こんな発情するのも、あなただけです」

埋めていた顔をあげ、首元にずらすと噛む程の強さで、一部分に吸い付く。
所謂キスマークというものをつけ、は満足げに笑った。








TOXIC






(2012.05.10 Thank you for 20000hit!!)