※後輩 花村先輩に猛アタック中 not特捜隊
「陽介先輩!今日が何の日か、知ってますか?」
「・・・・。どこからともなく沸いて出て、急に声かけんのやめてくれ」
心臓に悪い。とうんざりした表情でため息をつく先輩も・・・・・かっこいい!
というより、先輩は何やったってかっこいいんだけどね。
そうやって私をぞんざいに扱うあなたも、とーってもかっこいいです!
そしたら突然、先輩が私から後ずさりし出して、顔を引き攣らせて言った。
「何か今、よからぬ妄想したろ?!俺で」
「今だけじゃないですよ?四六時中、陽介先輩のこと考えてますよ!」
「・・・・・勘弁してくれ」
「ならいい加減、私のものになってください!」
「いい加減にすんのはお前だよ!」
「んもう!そんな照れないでくだ、さい!」
隙あり!とばかりに、陽介先輩の腕に絡み付いて、胸を押し付け上目遣いをやってみる。
けど先輩は喜んだり恥ずかしがったりすぐどころか、顔色が悪くなるばかりで。
「おい、まじやめろ・・・・離せ!」
「そういう先輩のストイックなとこ、大好きです!」
「俺はお前のそういうポジティブなとこ、怖ぇーよ!」
「で、話を戻しますけど」
「ほんっと、都合のいいとこしか聞かないな!」
「今日2月22日は、にゃんにゃんにゃん!の日ですよ」
「・・・・まさか、とは思うが?一応聞くぞ。、お前俺に何する気だ?」
「ナニ、だなんて・・・!陽介先輩のエッチ!」
キャハなんてぶりっ子しながら、頬染められたって・・・可愛いが、その前に怖い!
だってこいつ、俺のストーカーだぞ?!陰湿なストーカーじゃなくて、堂々としたストーカーっつーか。
公衆の面前で何度も告白してきては、撃沈してをここ1年続けてもまだ俺が好きだと、諦めない。
ストーキングというより、公開ラブシーンのようになってきてて、最初は冷やかしや同情の目を向けていた通りすがりが
最近ではすっかりおなじみの光景、みたいになってて"ああ、あいつらまたやってるわ"位の目しか向けてこない。
公認カップルですね!なんてはしゃぐから、仲間たちも助けてくれない。むしろひっつけ、なんて言われてる。
いや、でも・・・・まだ嫌だ!じゃない、絶対嫌だ!俺が好きなのは、控えな女の子らしい女の子だ!
「お願い、まじ離れて!さまお願いします、俺はまだ清い体でいたいんだ!」
「私もまだ清いですから!お互い清いままで堕ちるんですよ?」
「発言が怖ええよ!っ?!」
「アハ。陽介先輩顔まっか!」
パクリとくわえられた耳を庇いながら、全身が発熱したような猛烈な暑さに襲われる俺。
何、この積極的過ぎる女子!もう、無理、絶対無理、俺には手におえない!
なんて口に出来たらいいのに、耳を甘噛みされた程度で真っ赤になる俺、男してどうよ?とか色々考えてたら、言いたいことが纏まらず
口をパクパクさせていたら、いつの間にか壁際に追いやられ逃げ場を失っていて、目の前には嬉しそうに笑うがいて。
するりと俺に首に両手を回して、お互いの唇が触れそうな距離までぐっと顔を寄せられた。
これは怒鳴って押しのけてもいいとこだろ?!っていうかやんないと喰われるぞ、俺!
そう自分を奮い立たせてみたが、から甘いいい香りがしたり、目の前にある唇が柔らかそうだとか・・・・悲しいかな、男の性が働いた。
「ねぇ先輩?私のものになってくださいよ?にゃんにゃんにゃんの日ですし、記念すべきいい日にしましょうよ?」
なんて陳腐なセリフで、俺のファーストキスは奪われた。
にゃんにゃんにゃん!
(2012.02.22)