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kiss! kiss!! kiss!!!
(鳴上悠の場合)
「ん」
突然、悠がほっぺたを差し出した。
雑誌に目を奪われていた私は、顔を上げその差し出したほっぺに軽いキスを送った。
始めは、ほっぺを出される度ドギマギしてたけど、もう慣れたもので、羞恥心も吹っ飛んだ。
とりあえず、キスをしておけば機嫌がいいからキスはしておく。
チュとリップ音が響いた後、また雑誌に視線を下ろす。
季節モノの可愛いらしいワンピースに目を奪われつつ、最近悠と私服でデートしてないな
なんて一人凹んでいると、ガシっと雑誌を鷲づかみにする白い大きな手。
ビクリとして腕を辿っていくと、ちょっぴり不機嫌な悠の顔。
「どしたの?キス、したじゃん」
「あんなのほっぺたに触っただけだ。キスじゃない」
なんてわがままなんだ!
目をぱちくりさせていると、ふと影がさし頬っぺたに感じる暖かな、やわらかいもの
チュと少し長めのリップ音で、ようやく悠にキスされていると気づいて。
「な、ななななっ?!」
「、かわいい。すっごく可愛いよ」
雑誌がずるりと落ちて、全身が爆発しそうなくらい熱くて、やたらノドが乾いて、抗議の声も出ない!
チュ、チュ、チュ。額に頬に、鼻先に、指先に。沢山のキス。
ネイビーブルーの瞳に映るのは、すごく間抜けな顔をした私で。
なんか、悠がかっこよすぎて、爆発、しそう!
「?」
「な、なんでしょうか!」
「目開けて」
「無理でございま「開けろ」
オクターブ低くなった声に、反射的に従ってしまうのは・・・察してほしい。
それはもう勢いくパッチリと開けた視界に、悠の綺麗な顔がドアップで映りこんで反射的に距離をとろうとしたら
後頭部を押さえられ、退路は絶たれてしまった。
「悠、あのっ近いです!」
「キスっていうのは、愛情確かめるものだろ?あんな機械的にするもんじゃないし、俺は満足しない」
確かに、仰るとおりです。でも悠の好きなようにさせると、一日中キスしなきゃなんないわけで。
そんなの、私の身が持たない色々な意味で!
「俺がやったようなキス、してくれるよな?」
「え、えええ?!」
「してくれる、よな?」
笑顔の悠はとっても怖い。はい!と忠犬よろしく即答するのは・・・以下略。
緊張しすぎて、唇が震えてる。相変わらず全身が爆発しそうなくらい熱いし!
「ほら、?」
ふと、目の前で動く形のよい唇が目に入って、綺麗だな、触ってみたいなんて思っていたら。
いつの間にか、唇に唇をあわせてしまって。これには悠も目を見開いていて。
やってしまった!羞恥が頂点に達しようとしたその時、目の前の悠の頬が見る見るうちに赤くなって。
耳まで真っ赤にして、くそっと悪態をついてる。
でも、これ怒ってるんじゃなくて、明らかに・・・
「悠・・・照れてる?」
恐る恐る、悠の顔を伺いながら言うとビクリと肩を震わせ、悠は視線を私から斜め上に逸らしてしまった。
いつも追い詰められる側だから、なんていうかこう・・・わ。胸がギュってなった。
「かわいい」
そう思ったら、悠への好きな気持ちが溢れて、溢れて。好きだよ。言葉にする代わり悠がしてくれたみたいに
額に、頬に、鼻先に、指先に、唇に、キスを。
「好き・・・悠」
そう言った時の、悠の顔といったら!
一生忘れられない。なんていったら、酷い目にあうことは目に見えたから、一生言わないでおく。
可愛い、可愛い悠の顔と一緒に、ね?