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俺だけの可愛いお姫さま
(足立透の場合)
たまたまテレビをつけたら、流れていた映像。
途中でストーリーはさっぱり分からないけど、ドレスコードの女の子が男の人にお姫さま抱っこをされていた。
そのままくるくる回る2人は、とっても楽しそうで幸せそうで。
女の子なら誰しも、憧れるシュチュエーションなんじゃないだろうか。
もちろん、私だって例外じゃない。特別な人にして欲しい、欲しいけど・・・・・・
隣で頬杖をついて、ボケっとテレビを眺めているこの人には、無理かなあ。
キャラじゃないし・・・・好きなんだけど、そういうのとは別。
夢見る少女じゃいれれない、社会に出てしまえばなおのこと。どんどん現実主義になっていって。
画面がとても眩しい。思わず目を細めたときだった。
「ちゃん」
振り返ると、頬杖をつくために猫背になっていた背を正し、手招きをする足立さんがいて。
今でも手を伸ばせば、届く距離にはいるのに。
疑問を抱えながら、深く考えず言葉に従い距離を縮めると。
「わっ?!」
「どう、お姫様だっこは?」
突然膝裏に手を入れられ、胡坐をかく足立さんの上に下ろされる。
っていうか、これ・・・・・
「姫だっこじゃないです」
「ええ?細かいな・・・・」
ため息をついて、うんざりする足立さん。
面倒くさいならやらなきゃいいのに・・・・なんて言いつつ、ちょっと頑張ってくれたことが、嬉しい。
ううん、かなり嬉しい。だってあの映像を見てただけで私が何を考えていたか、分かってくれたから。
理想を叶えてくれない人で、面倒くさがりで、だらしないけど・・・・・やっぱり好き、特別。
「うおりゃっ!」
妙な掛け声上げた足立さんに、ギクリとすると突然浮遊感に襲われ、反射的に彼にしがみつく。
「どうちゃん。これなら、文句ないでしょ?」
ヘラっと笑うところが、しまらない。顔は悪くないのに・・・・・でも、やっぱりそういう可愛いトコが、好き。
言葉の代わりに、愛情を込め頬にキスを落とす。
あんまり自分からキスしたことなくて、ちょっと恥ずかしい。シュチュエーションも伴って。
ちらりと足立さんに視線を向けると、何故か彼は微かに不満を滲ませた表情をしていて。
「なんで口じゃないの?」
千年の恋も覚める、ってのはこういう時使うのが正しいんだよね?
いくら足立さんが特別で、大好きだっていっても・・・・こういうところは嫌い!
さり気なく、太ももを弄り始めた手を力いっぱいツネってやると、それはもう大げさに痛がってくれました。