恋人との遊園地
「へ?遊園地?」
「はい!遊園地行きたいです!というか行きましょうよ遊園地!明日にでも!」
金曜日の夜に突然さんが遊園地に行こうと誘ってきた。
いつも急に行きたいと言いたがるので困ってしまう時があるけど・・・遊園地なんて行ったことないからちょっと興味を引いた
テレビでアトラクションとかいろいろあって楽しいということは知っているけど・・・遠いんだよな・・・
「車で1時間くらいですけどきっと楽しいですから!」
「どうしてそんなとこ行きたがるの?俺は家でさんとゴロゴロしたいのに」
「ずっと家にいたらそのうちカビ生えちゃいますよ〜?」
さんと一緒ならキノコが生えるまでいちゃうもんね!
と、偉そうに言うとさんがマジでドン引きしていた・・ショック!
ていうか土曜日にそんなとこ行ったら確実に混み合う
人ごみは好きじゃない、どっちかいうと苦手
だから抵抗があるけどさんが隣にいるなら・・・なんとかいけるかな?
「移動中はずっと手を握ってくれてなくちゃヤダ」
「子供じゃないですからワガママ言わないでくださいよ」
「繋いでくれなきゃ行かない」
(うっわ〜ウザ)
遊園地行きたいと思ったのはテレビを見ていたからだ。
ブラウン管の向こう側には楽しそうに休日を過ごしている家族、そして恋人
ふと思い出すと・・・私は足立さんと恋人らしいデートをしたことがない
だからたまにはこうやってどっかに出かけたいというか遠出したい!
車で遠出デートなんて元カレともしたことないし!なにより楽しそうだ!
えへへ、一杯お喋りしながら足立さんの運転見てるの楽しそう〜
運転してるところあんまり見たことないんだよね!なによりカッコいい!
やっぱり意外に運転上手い所ポイント高いよね。
車で抱き合ってたあの夜、ハンドルをクルクル動かしてる姿は本当にカッコ良かった〜
う〜〜〜ん、移動中ずっと手を握ってるのは面倒だけど。
足立さんとの遊園地デート、車で遠出デートを考えると・・・・・仕方ないか
「分かりました。移動中はずっと手握ってますよ」
「イェイ!」
・・・もうすぐ三十路のオッサンがピースしながら”イェイ”言うな。襲うぞゴラ。
とにかく・・・明日は足立さんと遊園地デートだ!楽しみだな〜たくさんオシャレしなくちゃ!
ルンルン嬉しそうな顔でテーブルの上の夕食の片づけをしていたら。足立さんに手を握られた。
「ねぇ、洗い物後にしてベットでイチャイチャしない?」
「手を放せ三十路」
「し、失礼な!まだ30じゃないぞ!」
「どっちでもいい手を放せ」
「よかない!訂正しろ訂正!」
「はいはい、そろそろ三十路くんね。手を放せ」
「トゲがある!絶対ワザと言ってるだろう!!」
「うざってぇ!イイから手をはなーーーッ!!」
握っていた手を引っ張られ、自分の体が足立さんの胸に倒れた
真夏のこの時期・・足立さんの服は薄い。だから体温も感触ももろに感じる
彼はそのまま私の体をギュッと抱きしめてきた
私の首に自分の顔を埋めてグリグリと顔をこすり付けている。子供みたい。いや、ネコみたいで可愛い。
なんとなく私も甘えたくなって足立さんの背中に腕を回した
「・・・・・・暑い」
「俺は温かいよ〜」
「透さんって低体温?」
「ん〜そうかも、さん温かいね」
温まった体に低体温の足立さんが心地いい・・・なんだか眠くなってきた
でも!ここで睡魔に負けていたら翌日に素っ裸で起きちゃうよ!絶対駄目!
起きるんだ私!目を覚ませ!初体験はまだ先がいいもん!
「とりあえず洗い物したいんで離して」
「ヤダ、このまま寝ようよ」
「誰が泊まると言った・・・」
いつも二人で夕ご飯食べたら帰るつもり。
それなのに毎晩毎晩泊まれ泊まれって!いい加減にしろっての!
家に帰らないと流石に両親心配するし・・それにそればっかりはお父さんが許してくれないみたい。
お母さんは泊まれ泊まれって言うけどさ。本当にお母さん自由すぎるから困る・・・・
「と〜ま〜っていこーよぉ〜」
「お父さんに殺されたいんですか」
「ごめんなさい」
やっぱりなんだかんだでお父さんには弱い足立さんだった
このあと、洗い物してから二人でベタベタして私は帰宅していった
明日のために服とか選びたいしね!えへへ〜なに着ようかな!
―翌日―
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
車で私の家まで迎えに来てくれた足立さん。そして玄関に立っている私。
数秒間、私たちは無言でお互いの格好をじーーーっと見ていた
というか初めてだった・・・足立さんのこういう私服見るの・・・
灰色の七分袖カーディガン、中は白いタンクトップだろうか・・・カッコいいじゃねぇかコラ!
足立さんのクセになんかアクセ付けちゃって!
青のヴィンテージデニムにフェイクスウェードワークブーツだったかな?それの黒いヤツ
うっわぁ〜すごいなぁ〜とんでもない破壊力だ・・・どうなる今日の遊園地。
マジで襲いたくなるくらいカッコいいし可愛いぞヲイ!!なに頑張ってんの足立さん!
沖奈駅前にそんなファッションセンスいい店あったか?
いや・・・・通販だろう!絶対通販だ!足立さんが自分で探して選ぶなんてありえない!
わ、私のため?ヤダなぁ〜嬉しいなぁ〜ドキドキドキドキ
こんなに足立さんが頑張ってるのに、私・・変じゃないかな・・・大丈夫?大丈夫?
「えっと〜〜い、行きましょうか・・・透さん」
「・・・・・・・・へ!?あ、うん!行こう行こう!うん!行きましょ!あははははは」
(ヤベ、何にも頭に入って来なかった)
さんの私服は何度も見たことあるけど、こんなにめかし込んだ格好は見たことなかった
THEデートっていう格好なんて初めてだ・・・・・めっちゃくちゃ可愛い・・・可愛くてこのまま車で襲いたくなるくらい
ピンク色のショートパンツにグラディエーターサンダルだっけ?それのダークブラウン
脚が綺麗だからすんげぇ似合ってる・・・白い肌が、白い生足が輝いてるよさん・・・
んでちょっとやんちゃ系にしたかったのかな?上は白いタンクトップと俺よりやや派手なアクセ。
肩の辺りに可愛らしく花の刺繍がしてある・・・可愛い・・・
俺の格好は少し大人っぽくしてみた。頑張ってみた・・・部屋にある、ありとあらゆる服全部出して考えたさ!
鏡何度も見ながら頑張ったさ・・・そしたらさんめちゃくちゃ可愛いし!釣り合ってる?俺大丈夫!?
「な、なんか緊張しますね。こういうの初めてじゃないですか?」
「うぇ!?そ、そうだったっけ・・・・前に俺の服見に行った時があるじゃない。あの時もお互い私服だったよね」
「ん・・・・でも、ここまで気合入れてないというか普通の格好でしたよねお互い」
確かにそうだ。
だって遊びに行くんじゃなくて買い物に行ったから。服装なんて適当だった。
でも今日は違う!デートだ!恋人がよくやるデートなんだ今日は!お遊びなんだ!
だから服装に妥協できない!
確かに緊張する・・・なんだかめちゃくちゃ緊張する・・・
助手席にさんがいることはよくある。それなのにすごくドキドキする
可愛い格好だな・・・・肩の花の刺繍が本当に可愛い・・・・
ピンクのショートパンツも似合ってる。ピンクっているのがポイントだよね〜
さんの肌にあう・・・・って!水着とは違うぞ!あれとこれとは別だ!下着だってそうだ!
違うんだよ!分かる俺の気持ち!?(<知るか)
「今日のさんめちゃくちゃ可愛いよね〜もしかして気合入ってる?」
「〜〜そ、そういう透さんだって・・・・なんか、香水のニオイする」
うっわぁぁぁあ〜〜分かっちゃうんだそういうの・・・
そうです香水少し付けてます
た、たまにはいいじゃないか!少しは・・・お、大人の男を感じて欲しいというかなんというか・・・
だっていっつも三十路三十路って馬鹿にしたり甘えん坊になって全然27歳として見られてないもん!
というワケで・・・えっと・・・が、頑張りました。マジで・・・そして香水高い・・・・・ぅぅ・・・
「さんこそ、なんか髪型・・いつもと違うじゃない・・・」
「アトラクションに乗ったら髪ボサボサになるからで・・・あ〜〜」
そうです気合入れました
たまにはやんちゃ系にしたかったから服装に合わせて髪型変えました。
思い切っておダンゴヘアにしてみました・・・まとめるの大変だった・・・・
必死に雑誌見ながら、お母さんに後ろチェックしてもらいながら頑張りました!
遊園地に行ったらやっぱり髪がバサバサになるからさ!この間の買い物でシュシュやら髪留めやら買っといてよかった・・。
「普段、髪おろしてる子がまとめてるとグッと来るよね〜」
「・・・・・私にはグッと来ませんか?」
「なに言ってんの来るに決まってるじゃん。あ〜でもグッと来るよりもムラッと来るかな〜」
「髪型変えて来ます」
「ジョーダンだって!帰らないで〜!髪型変えないで〜!」
すぐに本気にしちゃうんだから可愛いな
それよりも、マジでそそるかもしれない・・このまま遊園地行くと見せかけてラブホに連れ込みたい!
というかしたい!エッチしたい!したくてたまらん!うなじエロい!可愛い可愛い!!
露出度半端ないんだけど!なに、誘ってんのキミ!しちゃっていいの!?首噛み付くぞコラ!
よ、よし・・・今日のデートでなんとか良いムードに持ってきてエッチしたくなる気分にしてやる!
じゃあすぐに計画経てなくちゃ・・・・
まず昼過ぎくらいまでアトラクション行きまくって体疲れさせるんだ。
後半あたりで軽めのヤツに乗って・・んで夜は夜景の綺麗な観覧者とか・・
ベタすぎてもムードに持って来れないかもしれないぞ
それだったら無理に遊園地でそんな気分にならなくても・・・夕方には切り上げて
違う場所でイチャイチャしてからの方がグッと心鷲掴み出来るかもしれない
(どっかいいところはないか?)
メールで堂島さんに聞いてみようか?あの人が奥さん落とした場所がどこか知りたい。
いや、産まれも育ちも稲羽だったら鮫川とか高台くらいが相場だろう!
参考にならねぇ・・・
「ねぇ、透さん。なんか喋りましょうよ・・・なにブツブツ言ってるんですか?」
「あ!そ、そうだね!うん!じゃあ音楽でもかけるね!」
交差点で赤信号になった時を見計らってCDをセットする足立さん
流れてくる音楽を聞いて少し驚いた
「”BUMP OF CHICKEN ”ですね」
「あ、知ってるんだ」
「当たり前です・・・好きですよ、このグループの歌」
若者って感じする。派手な歌じゃないから耳に優しいんだよね。
私は基本的に女性歌手の歌が好きなんだけど、彼らは何故か好き
そんな車でのドライブは本当に楽しかった
「遊園地空いてるといいですね〜たぶん無理でしょうけど」
「いま9時だけどやっぱり家族連れとか多いだろうね・・・ウッゼ・・」
「コラコラ・・・菜々子ちゃんとクマ君だと思えばいいじゃないですか」
「あの二人は特別なの!他のガキは嫌い!とくにしつけられてないガキはもっと嫌い!」
何かトラブルがあったみたいで・・・プンプン怒りながら話をし出した
私はそれを苦笑いで聞いていた。本当に子ども嫌いなんだなぁ・・・
う〜〜ん
「そういう人に限って、自分に子供出来たらナヨナヨするんですよね〜」
「ないない・・・・・・あ〜でもさん似の女の子だったらデレそう」
「馬鹿」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(サラッと子供の話をしちゃったぞ・・・馬鹿野郎なに言ってんだ私は!まるで私が子供欲しいみたいじゃないか!)
でも足立さん似の子供ってきっと生意気だけど泣き虫甘えん坊で可愛いだろうなぁ〜
普段はブスっとしてるけどいざってときは親頼るって・・・うわぁ〜可愛い可愛い!
そ、それになんか嬉しいじゃない。足立さんの血を受け継いだ人間が二人できるって事だよ。
つまり好きな人が二人できるって事じゃん・・・・素敵だなぁ〜子供欲しくなってきたかも・・・・・や、まだ早いから!!
(さんさりげなく子供の話題出しちゃったけど・・・や、やっぱり誘ってる!?遊園地キャンセルにしちゃうよ!!)
ラブホ連れて行ってフィニッシュしたくなるじゃないか!ドキドキ・・・
それにしてもさん似の女の子かぁ・・・可愛いだろうな〜この赤毛の緑色の瞳が似るといいのに。
そうなるときっとモテモテになるか?
うわ・・・そう考えるとなんかすっげぇムカついてきた
やっぱりさんの言うとおり、俺って自分の子供出来たらデレるのかな?!
というか女子高生と27歳の夫婦でどうよ!世間的に問題あるだろ!
子供なんて出来たら・・・・お、俺が押し倒したような目で見られる!堂島さんに殺される!鳴上くんに刺される!
で、でもさんとの子供・・・・子供・・・・で、きる前に・・・・け、結婚しちゃえば・・・
結婚かぁ・・・さんのウェディングドレスきっと綺麗だろうなぁ・・・・・・・・・・・や、まだ早いだろう!!俺の馬鹿!!
顔を赤くしてしばらくの間、なにも喋らないでずっと丸くなっている二人だった
―1時間後―
遊園地の中に入った途端、愉快な音楽が辺りに響いている
真夏だというのに着ぐるみを着てお客さんの対応しているマスコットやら、風船を配っている人。
なんとも子供向けのアトラクションがたくさんあって、その奥に大人向けの絶叫系があった
予想通り子供連れのお客さんばっかりだった
「やっぱり混んでる」
「うっわぁ〜子供めっちゃいる」
手を繋ぎながらお互いの感想を口々に喋った。
足元でチョロチョロ走り回っている子供を足立さんが睨んでいる・・・
「・・・踏みそう」
「あはは、透さん背ぇ高いもんね〜」
「レストランでも本当そう・・・人が水持ってんのにウロチョロ走りやがって」
そうなのだ。足立さんが子供関係でトラブルになったのはある日のレストラン。
給料が入ったので堂島さんとレストランでランチを食べた日のこと・・
水はセルフサービスだったので各お客さんが自分で取りに行くシステムだった。
上司に持って来させるわけにもいけないので足立さんが自分から水を取りに行った。
そして両手でお冷を持って歩いている最中に、子供が足立さんの前を走ってきたみたい
それに驚いた足立さんがうっかりお冷こぼしちゃって・・・
「店員さんに謝るわ、堂島さんには怒られるわ・・・近くにいたガキ連れの親に睨まれるわ・・ホント最悪」
「走っていた子供はどうしたんでしたっけ?」
「何も悪くないって顔でシレッと飯食ってたよ!!」
あの時の怒りを思い出しているのか大股で歩きながらプンプン怒っていた
や・・・大股で歩くのはいいんだけど・・・ちょい私との歩幅を考えてくれよ・・
足立さんが大幅で歩くと背の低い私は小走りしないといけないんだよ!
「ちまいガキほどムカつく生物はいないね!」
「透さんって根に持つタイプですよね・・・というか相手は子供じゃないですか・・大人気ない」
「大体ああいうのは親の教育が悪いからなんだ!俺に子供が出来たらもっとちゃんとさせるね!」
「・・・・・・あんまり教育熱心になりすぎちゃ駄目ですよ?」
さんの言葉を聞いて、俺はハッとした。
これじゃあ自分の親と変わらないじゃないか・・自分の都合の良い様に生きさせるやり方に・・
子供はもっと自由に生きさせるのが一番イイに決まっている・・・自分にも自由な時間が欲しかった
勉強じゃなくってリビングで親と喋っていたかった
塾じゃなくて学校の知り合いと公園で遊びたかった
誕生日には植物図鑑じゃなくてラジコンが欲しかった
本棚じゃなくてテレビゲームを部屋に置きたかった
俺の顔色が一気に暗くなったのに気付いたさんが服を引っ張ってきた
「でもま、しつけは大切ですよ。しつけは」
「しつけって・・・・」
「子供は無知。何も知らない何も教えてもらっていない。自分がやったことに責任能力がないんですよ。
それを親が教えてあげる・・・それが大切です。一から十まで全部っていうのは難しいと思うけど
他者に迷惑をかけないってこと、自分がされて嫌だって思う事をしない・・・土台を教え込む。それがしつけです。」
「土台を・・教え込む」
「子供だって馬鹿じゃありません、土台を教え込んでいれば頭で考えて行動しますよ」
(そっか・・・土台ねぇ・・・本当に変なこと言う子だなぁ)
でもそれで何度救われているか分からない
難しい言葉を並べないでストレートに伝えてくるさん
キミが伝えたいと思っていることが、しっかり伝わってくる
そうだね、土台を教えてやろう・・・勉強のことは二の次だ。
勉強がどうでもいいというワケじゃないけど、でも最初に大切なのは・・・親とのコミュニケーション
俺は、自分がされて嫌だったことを子供にはしないようにしたい
子供と会話して、自分の子供のことを知りたい。知って頭を撫でてあげたい。
・・・・・・・・・・・・・うわ、なんか・・・・子供欲しくなってきたかもしれない
フワフワとした感覚が胸で感じた
心が弾むような嬉しいような・・・幸せな感覚
手を繋いでいたさんの腕をグイッと自分の方へ引っ張ってきた
お互いの腕をからめるような・・・そんなことをするとさんが驚いた
「わッ!な、なにしてんですか!?歩きにくい・・・」
「や・・・なんかこうしたくなってきた」
彼女との距離を縮めたくって
「さ、さて!アトラクション行きましょっか!あ、あの絶叫行きたいです!」
「へぇ・・・って!!でか!そしてカーブ多い!」
「それがスリルあるんじゃないですか!わくわく!」
グイグイと俺の手を引っ張るさん・・・すんげぇ・・・俺の内臓持つかな・・・
基本的に絶叫なんて乗ったことないから不安だ・・・
「あれ乗ったら次はむこうの絶叫で・・それから次はあれで・・・」
「ま、待って!そんなに乗るの!?」
「当たり前じゃないですか!遊園地と言えば絶叫!絶叫と言えば遊園地!」
「それ間違ってる!絶対違う!って、分かったから腕引っ張らないで千切れるって!」
すべての絶叫を乗りまくった二人だが、足立の提案で間、間に軽めのヤツにも乗った
しかし徐々に足立の顔色に異変が起こり始めていた
―数時間後―
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ベンチで一人ポツンと座っている。近くにはトイレ。
しばらくしてからフラフラの足立が隣に力なく座ってきた
絶叫に疲れ果てたというか・・・叫びまくったというか・・・・
「大丈夫ですか?」
「・・・・・・今朝食べたの全部出た」
「絶叫苦手なら言ってくださいよ」
「乗ったことなかったから予想付かなくて・・それにさん楽しそうだったし」
あんなにワクワクドキドキとしたさんの顔見るの初めてだったし
つい幸せだったというか、もっと見ていたかったというか・・・可愛かったんだい!
しかし無茶しすぎた・・・気持ち悪い・・・
俺がトイレに行っている間にさんが買って来てくれたお茶を喉に通した
冷たいお茶が胃まで癒してくれているようだ・・・気持ち良い・・でも、気持ち悪いのは治まらない
ベンチにもたれると、ふぅと深呼吸しながら天気のいい空を眺めた
(なさけね・・・せっかく恰好くらい大人らしくしたのに、中身変わってねぇなんて・・・)
「透さん」
「ん〜?」
俺に微笑みかけるさん
彼女は自分の太ももをポンポンと叩いている。なんだ?
へにゃっと笑うと彼女は優しく言ってくれた
「少し横になりましょ」
「え・・・ということは・・・膝枕?い、いいの!?」
「本当は人前で恥ずかしいから止めて欲しいですけど・・・そうも言ってられないじゃないですか。
こうなったのは元々引っ張ってきた私の責任でもあるし。それに気持ち悪いんでしょ?」
今日はなんて素敵な日なんだ
さんの太もも・・・そこに頭を乗っけていい許可が入るなんて!!
確かに人前だからちょっと恥ずかしいけど・・・でも、気持ち悪いからね!!
のそのそと動くと俺は頭をさんの太ももに乗っけた
(うっわぁぁぁあ〜〜〜きもちひ〜〜・・・)
柔らかくてふわふわする・・家の枕よりも気持ち良い・・こんなのすぐに眠れる
そんなことを考えていたら俺の顔にさんのハンカチが乗っかってきた
さんの匂いがする
「これだったら、人目気にしないで休めますよ」
「ん〜さんで包まれてるみたい」
「・・・本当にごめんなさい、無茶させちゃって・・・でも楽しかったです。頑張ってくれて、ありがとう」
そう言うと頭を撫でられた
本当に、彼女といるとすべてが癒される
こんな苦しい思いするなら遊園地来なければ良かったと思ったけど。
でも俺の大切なさんが喜んでくれた、楽しんでくれた・・そして頑張った俺に”ありがとう”って・・・
嬉しいな
ホッとする
そう思ったら・・なんだか眠くなってきた
ゆっくり目と閉じてから30分
そろそろ起きた方が良いと思ったさんに起こされるまで、俺はぐっすり眠りについていた
―PM18:40―
「ふぅ〜いっぱい遊びましたねぇ〜」
「足パンパンだよ・・・明日も休みで良かったぁ・・・」
両手に色々な景品を持ったは楽しそうにクルクル回っていた
本気で楽しかったようで、そんな彼女を見ながら足立は小さく笑う
「ラストに観覧者に乗る?」
「あ、はい!じゃあ急ぎましょ!さっき見たら結構並んでたし!」
また俺の手を握ると引っ張りながら観覧者まで走った
こういうのも悪くない・・・それよか、子供も一緒だったらもっと楽しいかもしれない。
ちまい子供が男女二人。それからさんと俺。
なんか楽しそう・・・幸せそうだなぁ・・・家族・・・俺の、家族・・・かぁ・・・
「透さん?なにしてるんですか?早く乗りますよ」
「え、あぁ・・・うん」
そういうとゴンドラに乗り込んで俺らは最後の乗り物に乗るのだった
向かい合わせに乗ると、さんは窓から景色を見ていた・・可愛い。
子供みたい・・・・いや彼女は17歳だから子供だけどね!(<中身27歳)
観覧者か。結構高いな・・そしてデカい・・・・・・・あ・・・・・・
「あ・・・そういえば、透さんって・・・・」
「・・・・・・・・・苦手なんだ」
はい?
「高いトコあんまり強くないんだよ!」
思い出してしまった。だから絶叫駄目だったんだ・・うわぁ〜〜ヤベ・・・
そう考えたらめちゃくちゃ嫌になってきた・・降りたい・・・
不安そうな俺の顔を見ると、さんが隣に座ってきた
そしてギュッと手を握ってくれた
「大丈夫、隣には私がいるじゃないですか」
「・・さん」
「怖くない、怖くない」
頭を撫でられた・・・今日のさんはなんだか優しくて優しくて
そんな彼女の肩を掴むと、キスをした
触れるんじゃなくて彼女の唇を包み込むようなキス
顔の角度を何度も変えて夢中でキスをした
さんの舌と俺の舌を絡める音がゴンドラの中で響く
それがあまりにも卑猥に感じて彼女の胸に手を置こうとした
ビシッ!
「あ、いた!」
「調子に乗るな馬鹿!」
さんのチョップが入ってキスが中断されてしまった
お互い荒い呼吸をしている・・・・・ちぇ、駄目か・・・
このままゴンドラでエッチしたかったなぁ
というか無理か・・・でも生乳見るくらいはしたかったな〜
だってエロいじゃない?しかも誰かに見られるかもって言う羞恥心がまたさ!そそられる!
「密室になったらすぐに子犬から狼に変わるんだから・・・」
「優しいさんに欲情しました」
「こっから落とすぞ」
ついに怒ってしまったさんは俺の隣から離れると向かいに座ろうとした
そんな彼女の腕をギュッと掴んだ
「ごめん・・・・こ、怖いのはちょっと本気・・だから隣にいて」
「・・仕方ないですねぇ」
彼女はそう言うとストンと隣に座り直してくれた・・・よかった・・隣にさんがいてくれるから。
キスしたいと思えたんだ、胸触りたいと思えたんだ・・そんな彼女が隣から消えちゃったら、不安でたまらない
傍に居てくれないと怖い、寂しい
17歳の女の子の肩に、27歳のオッサンが頭を乗っけた
「さん癒し系だよね・・言われたことない?」
「さぁ・・・知りませんねぇ」
「自覚した方が良いよ、じゃないと他の男が黙ってないよ」
「大丈夫ですよ」
「なんで断言できるの」
だって君は女子高生・・鳴上くんのようなカッコいい男に惹かれるかもしれないじゃない
こんなオッサンと付き合わなくてももっと若くてピチピチで絶叫平気な楽しい奴だっている
浮気されても可笑しくない
「だって、透さんしか見えてないし」
「〜〜〜!」
えへへ、と笑う
その言葉があんまり嬉しかったので俺は彼女の肩に自分の顔を摺り寄せた
鼻から君の甘い香りがする・・・今日一日で汗かきまくったのに、それでも君の匂いは甘かった・・・
すごく安心する香りだ・・・好き、本当に好き・・・
「あ!透さん見て見て!夜景だぁ〜!」
外に指を差しているさん
高いとこ強くないのに、見ろと?
恐る恐る外を見てみた・・・・・
「うっわ・・・すげぇ・・・」
今まで俺を苦しめてきたアトラクションの光が、遊園地中で輝いていた
まるで感謝しているような・・・今日ここに来てありがとうと言っているように・・
心を奪われる様に光り輝くそれは・・・美しいとしか言えなかった
高台からの夕日も綺麗だけど、これは別
そんな夜景を見た後で、さんの顔を見た
「すごいねぇ〜うっわぁ〜綺麗綺麗〜!」
テレビとかドラマとかでよく聞くキザなセリフが頭でよぎった。
よく口から出るものだと思えるほど、聞いてるこっちがウザったくなうような言葉
絶対そんなワケないだろうとか、俺だったらそんなこと思わないね!とか考えてたけど
やっぱり、本気で愛する人が出来たら思えるみたい
確実に口に出したら馬鹿にされると思ったので、言わないでおいた
冗談とかじゃなくて本気でそう思った
(君の方が綺麗だよ)
夜景の光で輝く君が、本当に綺麗に感じたから・・・
午前中、なんとか良いムードに持って来てエッチしたい気持ちにさせると計画していたけど
さんのそんな綺麗な姿に見とれてしまい。つい自宅に帰るまで忘れてしまっていた。
それくらい君は綺麗だった
おわり
>遅くなりました!夢友、エナさんからの6万HITリクエスト夢小説!
『”導かれし光”のちゃんが遊園地で足立を振り回して、グロッキーになって、観覧車でチューして、調子乗って怒られる』です♪
デートの会話って難しいですねvvでも楽しかったです!そして服装も難しかった・・・想像は出来てるのに、文にするのに時間が(汗)
ファッション知識って大切です!色々勉強になりましたvvリクエスト本当にありがとうございました!
いつもお世話になってる「そよ風の如く」の「春風さくら」さんからの6万hitのリク夢です^^
連載もののヒロインと足立さんで、おデートしてるの見たいです!(ハァハァ
と鼻息荒く(またもや細かいシュチュを指定)お願いしたら、いいよ!って書いてもらったよー!
最近足立さんの私服について、本気で考えてるんですが・・・・さり気ないお洒落か、服に興味なくて・・・かどっちかだと思うんだよ。
でも私的にはハイセンスだと嬉しい。女子的には男子がハイセンスすぎるのって困るよね、よね!!
いやはやしかし・・・・・リクエストの予想の遥か斜めをいって返してくれるんですよね。
萌えやら胸キュンやらが、当社比倍増ですよ、本当いつもありがとうございます!
そして6万hit本当におめでとうございます!