「じゃぁー今度の土曜日。うん。迎えに行くよ。じゃぁ・・ね」
そう言って悠はに繋がった電話を切った。
今度の土曜日彼女とのデートの約束をしたのだ。
付き合って半年、デートを何度かし

色んな所へ行って

手も繋いだし、



キスもした。

そんな一般的なカップルだがまだ初々しさはある。
彼女からのメールが受信すれば「おい、相棒大丈夫か?」と陽介に心配されるほど顔が緩むらしい。

二人が一緒にいる時にはあまりにもお互い顔をりんごみたいにお互い顔を真っ赤にしてる。
そんな二人だけど半年が過ぎた。

ちなみに土曜日は久々に遠出をしようという事で電車に乗って3駅離れた海に行くことになった。
何度かデートはしたが海は初めてだ。
さすがに水着を着る季節にはまだ遠いが眺めたり散歩するには良い。
あと海の後はどうしよう何処か行くところはないだろうか・・・

とデートプランを考える悠。

そして
土曜日


「お、お待たせ」
と顔を赤くし白いワンピースに身を包んだが待ち合わせの駅にやって来た。

見とれてしまった。
いや私服は何度か見たことある。もちろんどれも可愛い。が今日のは本当に大人っぽくって凄く綺麗だった。

「悠くん?」
を見たまま固まった悠を首を傾げ尋ねた。
の声でハッと我に戻り

「ご、ごめん。うん。凄く綺麗だったから・・」
「えっ・・」
そしてお互い顔を真っ赤にしお互い下をむいた。
互いが照れ合っていて本当に「今日が初デートです」みたいな二人。
でも毎回のデートがこんな感じなのだ。

「じゃ、じゃぁー電車もあるし、い、行こう」
と、切り出してきたのはだった。

そして電車に乗り肩を並んで座った。
ガタンゴトンと電車は揺れ運んでいく。
しばらく会話はなかったが

「今日ね海行くでしょ?久々の海でちょっと楽しみなんだ」
と彼女から話をしてきた。
「うん。俺も。 向こうじゃ海は遠かったし行く機会が少なかったからね。楽しみ」
「そうなんだ。楽しみだね」
ニコリとが微笑んだ。
この笑顔が本当に悠は好きだった。
優しい笑顔。その場の空気も一緒に暖かくしてくれる。
その笑顔に自分は惚れたのだと思う。
そして悠も微笑んだ。



「次は〜〜〜駅〜〜駅」
目的地の駅に到着した。
ホームに降りて少し歩いたらそこには青くて透き通る水が広がっていた
「うわぁぁ!悠くん海だよ。・・・大きいね」
子供みたいにはしゃぐ彼女
違った一面が見れて悠はまた微笑んだ

砂浜に押し寄せる波は行ったり来たりを繰り返しキラキラと輝いていた。
そこには人はなく二人だけの世界がそこにはザザーンと音が広がっていた。
彼女が残した足跡を見てそれについて行く。
時折砂浜に足を取られてコケそうになるだがその顔はあの眩しい笑顔だった。

そして二人は砂浜に座り舌足らずではあったが色々話した。
皆のこと
子供の頃のこと
都会の暮らしのこと
そして

「私ね。海に久々に来たの。前に来たときはちょっと落ち込んでた時かな。
でもね海をこう波と一緒に眺めていると、本当に小さな悩みだなって思ってねそしたら元気に成れるの。
いつもは悩み解消で来たけど今日は悠くんと来られて良かった。なんだか今日は違って見える。」
「どんな風に?」

少し戸惑いながら彼女は答えた
「凄く、輝いていて 大きい・・」
顔を染は答えた。
海は大きいし輝いているのは当たり前だが好きな人と一緒に見る海は違って見えたのだ。

その後海を後にし街の方まで歩いてみた。
近くにお茶したりした。
と過ごす時間はあっという間に過ぎていった。
夕暮れに成った頃そろそろ帰り出そうかなって考えていた悠だったか
「ねぇ悠くん。もう一度海に行ってもいい??」
がもう一度海にいきたいと言い出した。
もちろんと言いそっと手を握って海へ足を向けた。

そこには昼間とは違い夕日に色に染まった違う海が広がっていた。
もうすぐ日が沈む、は座りじっと沈む夕日を眺めていた。
悠も腰を下ろし悠も沈む夕日をじっと見た。

そこには会話はなかったがお互い幸せだった。

沈む夕日を見て当たりは暗くなり駅の時刻表をみると
次の電車までなんと2時間待ち。
迂闊だった。
ちゃんと電車の時間を細かく調べていくべきだった。
と肩を落としていた悠を見てが申し訳そうに言った。

「ご、ごめんね。悠くん。私がまた海がみたいって言ったから帰りの電車なくなったんだ。
本当にごめんね」
「ううん。のせいじゃないよ。俺も見ていて感動したし。そんなに自分を追い込まないで」
「う、うん」
と返答へ小さかったが悠はそれでもまだ長く彼女と一緒に入れる事の方が嬉しかったのだ。
今日は菜々子も叔父さんも親戚の家に行くとかで今日の悠は時間を気にしなくて良かったのだ。
なので彼女が可能な限り一緒に居たかったのだ。

なんだかんだでやっと稲葉市に帰ってきたのは23時半
駅には当然誰もいない。
月と星が綺麗に空を覆っていた。
握る手には暖かさを感じた。

の家まで送った。
「今日はありがとう。遅くまで付き合わせてしまってごめんね」
「ううん。俺こそごめん。遅くなってしまって家の人怒ってなければいいけど」
「大丈夫今日は誰も居ないから・・。」
「えっ?」

俺の中で何かが弾けた。いやいやいやそんな狼みたいな事をしてに嫌われたら俺は立ち直れない。
ぐっと我慢して俺のシンデレラはガラスの靴も落さず階段を上がる。
「もう日が変わる24時だね。魔法が溶けちゃう時間だね。ちょっぴり残念。気をつけて帰ってね」
「うん。おやすみ。」
「うん。おやすみなさい」
と言っては玄関の奥へと帰ってしまった。
一人堂島家に向かう先ほどまでと握っていた手はまだ熱が残っていた。