「失礼しました〜」
職員室のドアを閉めた瞬間、は天を仰ぎ深いため息をついた。
本当なら今日は巽完二の尾行、もとい張り込みにみんなと参加する予定だったのに。
”鳴神”と呼ばれ何故振り向いてしまったのか、片割れがなぜ振り向かなかったのか。
「悠め…後で覚えてろ」
つい先程まで聞かされていた、長ったらしい説教が脳内で再生され、取り消すようには頭を振った。
放課後の教室で、鳴神と呼ばれたので反射的に振り向くと、そこに立っていたのは担任の諸岡先生。
些細な用件を手伝うよう言われ、片割れもとい特捜隊の皆に助けを求めてみたのだが…悲しいかな、誰とも視線は交わらなかった。
それにしたって、目を見張るべきは双子の兄の行動だ。
声色だけで誰か判断して、意図的に振り向かなかったのだ。感心すべきなのか、悲観すべきなのか。
茜色に染まる田舎道、行く手にも振り返っても自分一人。
一人には慣れている方だと思っていたし、何より隣には悠がいた。
「寂しいなあ・・・」
独り言を漏らしたくなる程度には、哀愁を抱いているようだ。
最近特捜隊の皆で行動することが常だったから。
きっと皆解散しちゃっただろうな、少し参加したかったな。
ほんの少し寂しさを覚えつつ、どうやって悠を懲らしめようかと思案しつつ、帰路につく。
角を曲がったところで、の目に見覚えのある姿が飛び込んできた。
ガタイの良い体躯、染められた髪、泣く子も黙る強面・・・巽完二ではないか。
彼がいるということは・・・は4人の影を求めてあたりを見回すが、彼ひとりしかいない。
張り付くんじゃなかったっけ?コテンと首を傾げたところで、彼と視線が交わった。
昨夜のドスの効いた声を思い出し、後ずさりそうになるのをぐっとこらえ、声をかけてみた。
「こんにちわ、巽君」
彼は怪訝な表情を見せ、てめえは…と呟き、舌打ちを一つ零した。
「あいつらといい…一体何の用だ?」
彼の口ぶりからするに、特捜隊の尾行はバレバレだったようだ。
半分遊びのようなものだったろうし。いや、それより先に彼の質問に答えないといけないだろう。
けれどこれといった用はない。ただなんとなく声をかけてしまった。
その結果を彼に伝える訳にはいかないので、別の言い訳を考えている間に巽完二は迷惑そうな表情で通り過ぎてゆく。
「あ、あのね!」
「…何だよ?」
律儀に立ち止まってくれるところを見る限り、やはり悪い人には見えない。
ところで、私は彼に何を言えばいいのだろうか?
首を傾げたところで、咄嗟に脳裏を過ったのは、手作りとは思えないようなかわいらしいあみぐるみ。
「この間のあみぐるみは巽君が作ったの?」
世間話をするように尋ねたつもりが、彼はこの世の終わりのような表情を見せ、俯いた。
もしかしなくても、地雷を踏みぬいたらしい。それはもうものの見事に。
どういう理由だか分からないが、先程の質問は彼を傷つけてしまったようだ。
謝ろうと口を開くと同時に、彼の口元が言葉を象る。
巽完二イコール不良というイメージからは程遠い、細やかな声で。
「男があみぐるみ作って何が悪ぃんだよ」
ぶっきらぼうにそう言い捨て、彼は今度こそ去っていった。私に謝罪をする隙も与えてくれずに。
しかし口ぶりからするに、あのあみぐるみを作ったのは彼だ、間違いない。
私はぜひ彼を先生に迎えて、可愛らしいあみぐるみ教室を開いてもらったのだが。
「前途多難かなあ」
男の人でも手先が器用な人は沢山いるし、現に有名ブランドのデザイナーは男性が大多数を占めている。
気持ち悪い、とでも言われると思ったのだろうか?
人を見かけで判断する軽薄な質と思われた…その事実に苛立ちを感じたは思わず呟いた。
「失敬な!」
「どうした?」
よもや独り言に返事が来るなど予想できるはずもなく、驚きのあまり後ずさりながら振り返ると、見覚えのある姿。
くせのある栗色の髪、八高の男子制服を身にまとい、首元にはオレンジ色のヘッドフォン。
いつもの人当たりのよさそうな笑みはなりを潜め、怪訝な表情で私を見ている。
「驚いた…気配消して声かけないでよ」
「尾行してたみたいに言うなよ?俺はただブツブツ言ってるが心配になってだな」
「そ、それより!尾行の結果は?」
その質問を皮切りに、巽くん尾行のお粗末な一部始終が明らかとなった。
「つまり…陽介と千枝ちゃんはバカップルだと」
そこじゃねーよ!と陽介の鋭い突っ込みが入り、思わず笑みが漏れた。
先程まで寂しいと感じていた気持ちはどこへやら。そんなの心情を知らない陽介は更に怪訝な表情を浮かべる。
このままではただの変な奴だと思われそうだったので、補足説明をしておく。
「いや、こうして陽介と話してるのが楽しくてさ。さっきまで一人だったし」
皆でいる時間が長いから、一人が寂しかったのだと伝えたつもりだったのだが。
何故か彼は視線をあちこちに彷徨わせ、上ずった声で俺も!と叫んだ。
遠くの角で何やら立ち話をしている奥様方が振り返るほどの音量で。
急に恥ずかしさが込み上げ、は咄嗟に陽介の腕を掴み、帰路に踵を返し早歩きでその場を去る。
戸惑う彼を無視し、一つ向こう側の道に入ったところでようやく立ち止まる。
「な、なんだよ急に」
「声が大きいんだもの。向こうにいた人がギョっとしてたから」
そう言いながら、振り返ったははたと動きを止める。
心なしか陽介の頬が赤い、ような気がする…伏し目がちに顔を俯かせているからだろうか?
それとも、夕日の加減だろうか?それとも…
は考えを巡らせつつ、自分の手が何かを掴んでいることに気づき、視線を落とす。
陽介の腕に自分の腕が絡んでいた。腕組み、という表現が正しいだろう。
それもそのはず。奇異の視線から逃げ出すため、自分が咄嗟に陽介の腕を掴んだから。
今思えば、2人の距離はいつもの比でない程、むしろゼロ距離に近い。
それを改めて実感したの鼓動が、一際大きく体中に響いた。
そのとき自分が、どのような表情で陽介を見ていたのかは分からない。
けれど陽介のはにかんだ笑みを見て、また鼓動が乱れたのを感じる。
「わりぃ、俺オーバーリアクションだからさ」
「だからガッカリ王子とか言われるんだよ」
「声でけぇのがガッカリ要素になんの?!」
軽口の応酬に何故かホっとする自分がいて、陽介もあえて触れないようにしてくれたことも分かった。
けれど、今の気持ちは何だったんだろう?
数秒考え単に恥ずかしかっただけ、と結論付けることにした。
悠以外の異性と近距離になること自体、珍しいことだ。
深い意味はない、むしろ考えないようにする。そうすれば気まずい雰囲気になることもないはず。
けれど"なかったこと"にされると寂しいと思う自分がいて。
「?どうした?」
琥珀色の瞳にキョトンとした少女が映っている。
距離を意識し、ドキリとする自分に驚きを隠せなかったが、そこは持ち前のポーカーフェイスでやり過ごした。
「ううん、なんでもない」
他愛のない話をしながら、陽介に家まで送り届けてもらった。
その深夜、天気は予報通りの雨。マヨナカテレビを見るため、双子は揃ってソファーに肩を並べていた。
しとしとという雨音をBGMに、時計の針が12で重なる時間を待つ。
電源の入っていない画面が、ぼんやり明るくなり、あの耳障りな砂嵐の音が真夜中の部屋に響く。
マヨナカテレビが映ってしまったということは、誰かが中に入ってしまったということ。
中に入れられたのは十中八九、巽完二。警告むなしく誘拐されてしまったのだ。
そっと、悠の手がこぶしを握るの手に重なった。
思いつめないように、一人で抱え込むなというサインのようで、マイナス思考に陥りそうなを救ってくれる。
ありがとうを込め、その優しいサインに答え拳を解いて、手を握り返した時だった。
猫なで声にしては、やや低めの嬌声のような音がしたのは。
ぎょっとして発生源に視線をやり、文字通り目を見開いた。
「こんなに熱くなっちゃったボクの体…どうしたらいいの?」
褌のみ身にまとった巽完二。だが普通ではないのは彼の仕草、そして声。
所謂オネエと言われる人たちのような振る舞い。
深夜帯にも放送できないような、ネットの闇でしか見られないような…これ放送事故でしょ。
「もっと奥まで、突、入!しちゃいまぁす!」
腰を艶めかしく動かす度、紫色のバラがふわりと現れては、消えてゆく。
宣言通り、彼は背景に映っていた温泉施設のようなところへ、女の子のような可愛らしい走り方で、走り去った。
ブツン、と映像が切れたところで、2人共何を発するわけでもなく、ただただ消えた画面を見つめていた。
その沈黙を破ったのは、悠の携帯の着信音。
難なく電話に出たということは、きっと特捜隊の誰かだろう。
あの衝撃映像はともかく、巽完二がテレビの中に入れられたというのは、はっきりしている。
「録画したぞ」
相槌を打っていた兄の衝撃発言に、思わず"いらない!"と叫んだ声が重なったような気がして、首を傾げる。
軽く目を見開いているのは、受話器を持っている悠。もしかして、今二重に聞こえたのは、しゃべっている相手とシンクロしたからだろうか?
きっと陽介だ。真夜中でも鋭いツッコミをできるのは、彼しかいないだろう。
「ああ、そうだな。また明日」
「陽介だったでしょ?」
問いかけに回答を貰えたのは、5秒程の間を置いてから。それも何故か嫌そうに、曖昧な生返事で返された。
「とにかく寝るぞ」
さも一緒が当然のように手招きされることに慣れ、何の違和感もなくベッドに入る。
「やっぱり今日もアッチの夢、見るのかな」
「…違う意味で悪夢を見そうだな」
「…そうならないよう祈ってて」
軽口をたたけるのは、皆が巽くんを助けられると確信しているから。
そんなことを思いながら、睡魔に身を任せた。
その夜夢を見た。
夢と断定できるのは、マヨナカテレビを見た後は"見るものだ"と、今までのことからいつの間にか、習慣づいた癖のようなものだ。
けれどその夢はいつもと違っていた。
視界は一面の乳白色。自分という存在が曖昧になってしまいそうな、そんな気分にさせる濃霧。
纏わりつく霧はどことなく冷たく、どこまでも重い。
「誰かいる?!」
得体のしれないものは恐ろしい。その恐怖心を払拭するため、声を出して己を奮い立たせようと試みた。
だが、返答はおろか自分の声が反響する音も届かないため、不安を煽る結果に終わってしまった。
歩き出そうにも、右も左も、それこそ上下の感覚も不明だ。
この状況は稲羽に初めて来た夜の夢に似ている。けれどあの時はずっと誰かの声がしていたし、悠と会うことができた。
けれど今はたった一人、まさしく五里霧中。
「悠ー!いるの?」
淡い期待を込め、叫びながら、ゆっくりと地面を確かめるように歩き出したその時だった。
笑い声がした。冷笑とも嘲笑ともとれる。どちらにしてもの不安を煽るような声。
「ねえ、誰かいるんでしょう!」
不安を、恐怖心を煽られてはいけない。声のする方へ足を向けるが、何故か声は遠ざかる。
が距離を縮めようとすればするほど、一定の距離を置く。
追いつかれないよう、けれど離しすぎないよう…まるで遊ばれているように。
それからの中では恐怖心より、苛立ちが勝り、ついに声の方に駆け出した。
しかし不思議なことに、いくら走っても走っても追いつけない、そして終わりも見えない。
疲れと苛立ちがピークに達し、は感情を吐き出すようでたらめな言葉を叫んだ。
は唐突に目覚めた。まどろみから覚めるのではなく、唐突に覚醒した。
思考は冴えわたり、体も機敏に動く。いつもなら思考もおぼつかないというのに、ただ目を瞑っていただけのようだ。
隣に視線を向けると、片割れがあどけない寝顔で、規則正しい寝息を立てている。 しばらくその寝顔を見た後、は見慣れつつある天井に視線を戻し、深いため息をついた。
邪魔をされたというんだろうか。
マヨナカテレビを見た後に見える"あっち"の様子は見ることができなかった。
ずっと続く深く濃い霧の中を彷徨っていた。彷徨わされていた、というのが正しいのだろうか。
自分があちらの世界を見る、というのも理解を超えた現象であるが、それを妨害するというのも同等、否それ以上でなかろうか?
とにかく皆に相談すべき現象だろう。
まずは、寝息を立てていいる兄の意見を伺ってみよう。
それを実行するのはもうしばらく後でいいだろう。
熟睡できていないことを改めて確認したので、眠気に襲われつつある。
時計の針はまだ起床前の数字を指しているし、仮に寝坊しそうになったって悠が起こしてくれるだろう。
人目がないのをいいことに、は大きなあくびを一つし、悠の胸元に頭を寄せる。
一つ間を置いて、を包み込むように腕が回される。
悠が起きているのかと思いつつ、確認するのも億劫なほど瞼が重い。
あえて確認する必要はない。温かさに安堵を覚えつつ、はつかの間の眠りについた。
「邪魔されているって…誰に?」
目的地に向け皆で商店街を歩いている途中、ふと千枝ちゃんが素朴な疑問を投げかける。
誰も答えられず、それぞれが思考を巡らせる中、悠が疑問に疑問を返す。
「そもそも、邪魔なのか?」
悠の言葉を受けた陽介が、こう口を開いた。
「今まで見えてたことが、偶然だった?それにしては偶然が重なりすぎてねえ?」
山野アナ、小西先輩、そして雪子。3度も続けて偶然、というのは苦しいものがある。
しかし見えたのは偶然で、今回は何者かに邪魔をされて見えなかった、という結論に至っても説得力がない。
何せ分からないことが多すぎる。
テレビの中に入って、ペルソナ能力ということでも特例なのに、はその枠組みから外れてしまっている。
「クマさんにも、分からないみたい」
枠組み外の理由は、向こうの世界の事情を教えてくれるクマくんにも、分からないよう。
そもそも"入れない人"と"入れる人"に分類されるのなら、この殺害方法もかなり危ういもの、ということ。
入れる悠に伴われ―といっても偶発的だったが―陽介と千枝ちゃんはあちらに入れた。
その悠に伴われても、入れない私のような人がいるというなら、犯人はどうするつもりなんだろうか?
犯人の心配をしている訳ではないが…今は考えても堂々巡りそれより今は優先すべきことがある。
皆で頷きあい、到着したのは巽家の染物屋。
ここなら何か手がかりを得られるだろうと考えてのことだ。
巽君の母は、再び快く私たちを招き入れ、話を聞かせてくれた。
その話は確かに、"不良"という固定されたイメージを変えつつある。
しかしこれだけでは、彼を知り得る手がかりには、まだ足りないだろう。
ふと隣にいた悠が、視線を表の通りに反らした。
なんとなく倣って視線を向けると、そこには小学生くらいの少年が一人立っていた。
染物屋に用がある、という風ではない。とすると巽君に用でもあるのだろうか。
その少年に悠が話しかけると、彼はひとつのウサギのあみぐるみを出した。
見覚えのあるその可愛らしいマスコット。それは彼が手作りしたものだ。
その少年が貸してもらった可愛らしいマスコットをなくしてしまって、途方に暮れていたところ
巽君が代わりのマスコットを作り、一緒に友達のところへ謝りに行こうと、助けてくれたと言う。
「イメージに全然あわねぇな」
「けどこれ…すごい!手作りと思えないくらい、よくできてるよ」
「でしょでしょ!やっぱりこういうのが女子の心をガッチリ掴むんだって」
「なんでが得意げなんだ」
悠に呆れられる声を聴きながら、ふとは巽完二とのやりとりを思い出す。
「陽介が言うように、巽君とあみぐるみって結びつかないでしょ?」
「あの完二くんから生み出されたと思うと…複雑だよね」
「昨日ね、巽君に会ったとき"男があみぐるみ作ったら悪いのか"って言ってたんだ」
「完二と?いつ?」
「オニーサマに逃げられてからですよ」
嫌味っぽく、つつくように言っても兄にはどこ吹く風。
もしかして、と話しを切り出したのは陽介。
「あいつ、何かコンプレックス抱えてんのか?」
「それは直接、助け出してから聞こう」
「ねぇ君、これ貸してもらっていいかな?」
少年は快くうなずき、帰っていった。
巽君に直接お礼を言いたい、と願う少年のためにも、かならず助けないといけない。
手作りなら匂いもバッチリついている、と仮定し皆でジュネスに戻ったところで、見おぼえのある姿を見止めた。
「あれ?あの子昨日の」
「巽君と会う約束してた子、だよね?」
艶っぽい美少年がエレベーター前で佇んでいた。
小柄であるが、その容姿と青い目印のようなハンチング帽で、周囲から浮いている。
ふと彼もこちらに気が付き、また会いましたねと声をかけられる。
「ご存知ですか?巽君が行方をくらましたこと」
探るような視線に、どう答えてよいものか、曖昧な返答をしたところ、陽介が果敢にも質問を投げかけた。
昨日、巽完二と何を話していたかということを。
しかし悲しいかな、何故そんなことを聞くのか、とストレートに尋ねられ、口どもる陽介。
動じない様子から美少年の方が上手なんだろう。
彼は私たちを見回し、急いでいるようだから理由はあえて聞かない、と前置きをして口を開いた。
「とはいっても、僕は最近のことを彼に聞いたにすぎませんが」
「なんだ、ただの世間話」
「そんなところです。しかし…今思い返しても、彼の様子は変だった」
変?と悠がオオム返しに聞くと、少年は頷き、巽君に"変な人だ"と正直に伝えたと言う。
「そしたら彼、随分を顔色を変えていました」
「意外だな。あいつそんなこと気にしないように見えるのに」
「人は見かけで判断できません。彼は彼なりに、何かコンプレックスのようなものを抱えているのかもしれませんね」
不良という世間のイメージ、あの可愛らしい手作りのあみぐるみ、そして美少年への態度、コンプレックス。
他人には言えない悩みを抱えていた、ということだろうか。
「これで良いですか?」
美少年はそっけない態度で言うなり、その場を去っていった。
これで十分な手掛かりに、なり得るだろう。
一行がエレベーターに乗り込む中、は小さくなる美少年の背中を追っていた。
人は見かけで判断できない、と言った彼の表情が一瞬曇ったことが気にかかった。
彼も他人のことなど意に介しないタイプに見えるが…実際はどうなんだろうか。
「ちゃーん?置いてくよ」
「あ、待って!」
彼とはまた縁があるような気がする。
気になりながらも、は一行が乗るエレベーターに足を進めた。